クロスファイア

クロスファイア〈上〉 (カッパ・ノベルス)

クロスファイア〈上〉 (カッパ・ノベルス)

クロスファイア (下) (カッパ・ノベルス)

クロスファイア (下) (カッパ・ノベルス)

19〜20冊

宮部みゆきさんです。面白い・・・という感じではないです。良かったです。何が良かったのかを上手く表現できない感じですので、印象に残ったところを抜粋。

「幸せというのは、いつだって点なんです。なかなか線にはならない。それは真実も同じですがね。」

物語終盤での刑事さんの言葉です。青木淳子という能力者も、その他の登場人物も、僕たちが住んでいるこの世界の人たちも、すべてが幸せは点だよなぁって思います。どんなに幸せを感じていても、困難な壁にぶつかりもがく事があり、苦しむ事があり、悲しむ事がある。それは確かに点だよなぁって思いました。感情は人生において点であるのに、一つの点に拘って生きていく。幸せ。これを感じている時は永遠を感じる。この人と一緒なら私はずっと幸せでいられる。それも真実だ。だけど、続かない事も真実だ。所詮は真実も点である。一つひとつの点が人生の座標軸に落ちていく。振り返ればその点の数々はまた一つの点であるのかもしれない。



内容はパイロキネシス(念力放火能力)という力を持った青木淳子が、自分の正義と自身の能力で人を裁いて(処刑)いく。その事件を捜査(捜査というよりサブオーバー?)する刑事たちのストーリー。青木淳子自身の変化も見ごたえがあるし、刑事たちの推理も面白い。また、ストーリーの肉付けとしていろいろな描写が出てくるが、宮部みゆきさんの物事の捉え方というのが面白い。普通、第1低層住宅地とかっていう専門用語なんて出てこない。そこらへんも教養として面白いかも。
読み始めて一気に読みました。6時間くらいかな。